プロジェクトストーリー

味の素ビルドアップフィルム開発ストーリー

すべては、アミノ酸技術とお客様の声から。
世界が認めた、絶縁フィルム。

味の素ビルドアップフィルムとは?

AFTの主力製品である「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」。実は、私たちのごく身近にあるもの。パソコンの心臓部であるCPUが搭載されるプリント基板に用いられる絶縁材です。このプリント基板は、数十ミリ四方の大きさで、髪の毛の10分の1の細い銅配線の回路が何層にも重なった多重構造になっており、その層と層の間を絶縁しているのが味の素ビルドアップフィルム(ABF)です。味の素ビルドアップフィルム(ABF)はパソコンのほか、ゲーム機、スマートフォン等の電子機器にも使われ始めており、次世代IoT、ロボット、自動車など、将来も需要拡大が見込まれています。

01開発スタート
きっかけはお客様の声から

もともと味の素(株)はプリント基板の素材として、液状の絶縁材を提供していた。
溶剤の臭いが作業者を苦しめ、製品であるプリント基板にホコリがつきやすい。かつ、液状であるためプリント基板表面がデコボコになるという品質上の欠陥を客先では抱えていた。「液状ではなく、フィルムの絶縁材が欲しい」そんなお客様の切実かつ斬新な声から、1996年にフィルム形状の絶縁材の開発が始まった。

02開発過程
他社ができなかったことを形にする、新発想

絶縁材のフィルム化は、大手化学メーカーが何度もトライしたが失敗していた。食品メーカーである味の素(株)は当然、後発メーカーであり、現有する液状絶縁材の性能向上に手を拱いていたこともあり、客先の誰もがフィルム化の開発には期待をしていなかった。
大手メーカーの苦労も業界の常識も耳に入ってこない、失敗して当たり前の開発だったため、開発者達は自由な発想で取り組むことができた。他社が生み出せなかったものを生み出す。そのため暗中模索の時間が続いた。しかし、開発着手から約1年後にはフィルム化に成功。それは冷凍保存をしないと3日で使い物にならなくなるというフィルム。食品会社が母体だからこその新発想である。

03製品完成
時流をつかんだ、
味の素ビルドアップフィルム(ABF)の成功

完成した絶縁フィルムを大手化学メーカーに先駆けて客先に持参すると、業界に浸透していなかった味の素(株)が持ってきたことに周囲は驚いた。しかし、インターネットの普及とともにパソコンが急速に普及した90年代後半、プリント基板メーカー各社は、パソコンの性能向上に追随するプリント基板開発にしのぎを削っていた。少しでも性能を上げるには、この絶縁フィルムは欠かせない、正に、多くのプリント基板メーカーが探し求めていたものだった。そんな絶好のチャンスが重なり、1999年、味の素ビルドアップフィルム(ABF)は製品化された。そして、発売3年後には世界のトップシェアを占め、"要冷蔵"の絶縁フィルムは業界標準(デファクトスタンダード)になった。

04今後の展開
「イノベーションプロバイダー」という使命

味の素ビルドアップフィルム(ABF)は誕生期を通過し、成熟期に至っている。また、新たな技術が出て来ると一気に転換期を迎えることにもなる。
CPUはバージョンアップの頻度が高く、そのたびに世界中の最新の絶縁材が試されるので、お客様に密着した日々の研究開発が重要である。一方、PCだけでなくスマートフォンやタブレット端末など電子機器の進化に追従していくことで、今のビジネスを更に成長させていく。
また、単純に幹を太くしていくだけではなく、幹を増やしてもいくことも大切だ。そのためには日頃の研究・開発だけでなく、お客様の声を形にして新たなビジネスを作り上げていく必要がある。味の素ビルドアップフィルム(ABF)が業界に与えたイノベーション、これを提供する"イノベーションプロバイダー"であることが我々の使命であると考えている。時代を読み、社会や人々の生活に必要な技術を創り上げ、お客様が必要とすることやものを提供する。私たちは今後、第2の味の素ビルドアップフィルム(ABF)を作り上げ、成功させていく。そのためには社員全員で同じ目標に向かって邁進することが重要だと考えている。

味の素KK公式チャンネル
( AJINOMOTO OFFICIAL ) - YouTube

最後までお読みいただき、ありがとうございました。こちらの開発ストーリーですが、動画のご案内もございます。ご興味をお持ちいただけましたら、リンク先の味の素㈱の公式チャンネルより、ページ中ほどの「味の素グループ 挑戦の物語 電子材料ビジネス篇」も是非、ご覧ください。